【第31回】住宅ローン減税見直しへ

13年間住宅ローン控除を受けられるようになる

2020年12月5日の日経新聞で、政府与党が住宅ローン減税の見直しの全容が判明したとの記事がありました。
住宅ローン減税とは、ある一定の要件を満たした住宅を購入する際に最大10年間、所得税などから税金を控除できる制度です。中古住宅は最大200万円、新築住宅は400万円~500万円です。マイホームを購入する方にはとてもありがたい税法となっています。

消費税が8%から10%に値上がりした際に、新築住宅などであれば期間限定で最大13年間に延長されていますが、新型コロナウイルスの影響もあり期間が延長されるようです。
新築戸建の場合は、2021年9月末までの契約、入居が2022年末までの場合には、13年間住宅ローン控除を受けられるようになるようです。

これは売主様には朗報で、2021年年9月に向けての土地の駆け込み需要が見込めそうです。

今回の記事で私が一番驚いたのは、住宅ローン控除で控除できる税額が減る議論がでていることです。
最近の1%を切るような低金利では、支払っている金利より住宅ローン控除で受ける恩恵の方が大きい場合があることが問題になっているようです。

1/1に新築戸建を購入した場合で例を上げます。

①借入額4,000万円・借入期間35年・元利均等・金利1.5%
1年目末住宅ローン残高3,912万円×1%=最大控除額39万円
1年目間の住宅ローン支払い額147万円 元金88万円 金利59万円
この場合は、金利59万円>大控除額39万円 となり支払った金利の一部が税控除で戻ってきます。

②借入額4,000万円・借入期間35年・元利均等・金利0.5%
1年目末住宅ローン残高3,895万円×1%=最大控除額38万円
1年目間の住宅ローン支払い額124万円 元金105万円 金利19万円
この場合は、金利19万円<最大控除額39万円 となり支払った金利より多くが税控除で戻ってきます。

金利が1%未満になると、支払う金利よりも税控除の方が大きく、恩恵が大きすぎることを問題視しているようです。
記事によれば②のケースだと、最大控除額を金利負担と同じ19万円にする方向で議論されているようです。
これが10年~13年続くと大きな差になりますのでご注意されて下さい。

買主様から見ると住宅ローン減税の事実上の増税です。
少しマニアックで難しい内容だったと思いますが、お伝えしたいことは大きく2つ、住宅ローン減税のみの観点から考えると、
・マイホームを購入する方は早い方が損しません!!
・不動産を売却する可能性がある方も早い方(もしくは来年中)が損しません!!

不動産はその他にも複数の要因で価格が決まるため、一概には言えませんが、少なからず買主側の購入意欲低下には繋がる要因の1つになりそうですね。