【相談事例12】思い出のある実家を残すには

できれば誰かに住んで欲しいです……(60代女性)

父はまだ健在ですが、高齢で施設に入っており、実家には私が住んでいます。

過去に私の兄弟が現金が必要な際に、援助をしている経緯があり、父は以前から実家は私に相続させると言っていますが、私も県外に家を持っており、将来はそちらに住む予定です。

相続しても実家は築40年程度経過しているため売却することになると思います。しかし私の想いとしては、売却するにしても、買って頂いた方にリフォームをして住んで欲しいと考えています。

思い出ある実家のため、建物を取り壊さなければいけない、売地としては出来る限り売りたくありません。でも将来、実際に父に不幸があり、相続した時に今より家が古くなっていたら、土地としてしか売れないような気がします。

何か良い方法はないでしょうか?

当センターからのご提案

今回のご相談者様には、相続時精算課税制度を利用して、お父様から相談者様へ実家を生前贈与し、早期に売却するご提案をしました。

通常の暦年贈与であれば、贈与額の110万円を超えた部分については、相談者様が贈与税を支払わないといけませんが、相続時精算課税制度を利用すれば、2,500万円までの贈与には課税されません。また、築年数を考えると、建物を残すためには少しでも早く、売却した方が良い状況です。

遺言を書いて実家を相談者様へ相続させることは出来ますが、相続がいつ発生するか分かりません。
お父様名義のまま売却をして、現金を生前贈与する方法もありますが、お父様の年齢を考慮すると認知症などの不安があります。

認知症になった場合でも、家庭裁判所に申請して後見人制度を利用すれば、売却できる場合もありますが、お父様には当面の施設費用については蓄えがあるようなので、今回のケースでは売却ができない可能性があります。

築年数が古い場合は、どうしても売却できるまでに時間がかかることが多いため、時間軸を考えて最善なご提案を考えなければいけません。
現時点では相談者様も実家に住んでいるため、生前贈与後に売却しても、居住用財産の3,000万円控除の利用が見込め、税金についても有利な状況です。

今回ケースでは、相続時精算課税制度がとても万能な相続対策になりましたが、必ずしもそうなる訳ではないので注意する必要があります。

あくまでも、今回の相談者様には有効な選択肢の1つであっただけで、有効な選択肢になるかは状況次第で変わります。

相続時精算課税制度には、いくつもの注意点がありますので、安易にご自身で判断されず、専門家へご相談されて下さい。


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