【第36回】空家になった自宅を「売却」するか、「貸す」か、税金含め考える③

今回は実際に貸家にした場合のシミュレーションをしてみます。

【貸家にして10年後売却】

《シミュレーション条件》
・月額家賃5万円、シミュレーション期間10年、5年で入居者が入れ替わる
・築35年木造住宅、10年後に空家になったタイミングで建物を解体し土地として売却
・1年目空家での査定価格1,000万円(土地価格800万円・建物200万円)
・10年目空家での査定価格800万円(土地価格800万円・建物価格0円)
・取得費不明、譲渡所得税は20%にて計算

「1年目シミュレーション」
家賃収入60万円
△空室期間3万円(5%にて計算)
△管理手数料3万円
△固定資産税5万円
△火災保険料4万円
△原状回復費用30万円
△広告費5万円
=家賃収入手取額10万円

「2年目~5年目」
家賃収入60万円
△空室期間3万円(5%にて計算)
△管理手数料3万円
△固定資産税5万円
△火災保険料4万円
45万円×4年間=家賃収入手取額180万円

「6年目シミュレーション」
家賃収入54万円(築年数が古くなったため下落)
△空室期間3万円(5%にて計算)
△管理手数料3万円
△固定資産税5万円
△火災保険料4万円
△原状回復費用30万円
△広告費5万円
=家賃収入手取額4万円

「7年目~10年目」
家賃収入54万円
△空室期間3万円(5%にて計算)
△管理手数料3万円
△固定資産税5万円
△火災保険料4万円
=39万円×4年間=家賃収入手取額156万円

10年間の家賃収入手取額は350万円となります。

10年後は築45年を経過しているため、建物を解体して土地として売却します。
売却価格800万円-建物解体費用100万円=売却手取額700万円
譲渡所得税計算(売却益700万円-(取得費700万円×5%))×20%=譲渡所得税133万円
売却手取額700万円-譲渡所得税133万円=税引後売却手取額567万円となります。

10年間の家賃収入手取額350万円+売却後税引手取額567万円917万円となりました。

次にすぐに売却した場合です。

【貸家にせず即時売却】

売却価格1,000万円-建物解体費用0円=売却手取額1,000万円
譲渡所得税0円(3,000万円控除の特例利用)
売却手取額1,000万円-譲渡所得税0円=1,000万円となります。

シミュレーションした結果、貸家にせず即時売却の方が、手取額が高くなりました。

もちろん、前提条件が変われば貸家の方が良い場合もあります。今回のシミュレーションでは簡略化するため、貸家期間中の所得税計算は割愛しており、本来は貸家にしている期間にも税金がかかるためご注意下さい。また、築35年の自宅であれば、外壁・屋根などの修繕費用が一度に100万円以上必要になることもあります。

また、良くお客様にお話するのですが、仮に貸家の場合がシミュレーションが良かった場合でも、即時売却した場合は、1,000万円を元手として投資信託などで運用する選択肢もあります。

余談になりますが、1,000万円を利回り5%で投資信託(複利)で運用した場合、10年後には1,628万円になります。もちろん投資なのでリスクはありますが、自宅を貸すことも不動産投資になるためリスクがあるという意味では一緒です。

いづれにしても、自宅が空家になる際には、売った場合と、貸した場合を適切にシミュレーションすることが大切です。

当社では、無料にてシミュレーション作成をしておりますので、お気軽にお声掛けください。